2020年12月30日水曜日

"Campanae Parisienses" 「パリの鐘」

Besard, Jean-Baptiste, 1567-1617

Novus partus sive concertationes musicae. 1617.

この作品集の中に納められている"Campanae Parisienses" 「パリの鐘」はレスピーギのリュートのための古風な舞曲とアリアにも取り入れられてちょっと有名になったかも知れません。

この作品集は、以下の3つの図書館で参照できます。

(A-Wn) Österreichische Nationalbibliothek, Musiksammlung, Wien [MS75192-4°MUS MAG]

(D-Mbs) Bayerische Staatsbibliothek, München [BSB Mus.ms. 4123]

(US-Wc) The Library of Congress, Music Division, Washington, D.C. [M1490.B51]

残念ながら、古い印刷技術・製紙技術で作られたものなので、これら3つのどれも見ても、文字や横線の裏抜けが強くて読み取り難いです。

そこで、今回はUS-Wcの曲集から「パリの鐘」の部分をクリーニングしてみました。ここでは、エッジ保存型ノイズ除去フィルターとコントラスト補正、適応的な2値化処理を施しました。i7のPCで約1分かかります。大分、見易くなっています。完全にはノイズを落とし切れていませんが、パラメータを追い込めばもっと綺麗になるはずです。


Original (US-Wc) 



After Cleaning

2020年12月29日火曜日

フレットガット

 ロバート・ダウランドはVarietie of lute lessons(1610)にて、どのゲージをフレットに使うかを説明しています。


let the two first frets neerest the head of the instrument (being the greatest) be of the size if your countertenor, then the third and fourth frets must be the size of your great meanes: the fift and sixt frets of the size of your small meanes: and all the rest sized with trebles. These rules also serve for viols, or any other kind of instrument whereon frets are tyed.

また、luteshop.co.ukの記事では、以下のように読み直しています。

So the first two frets should be the same size as the fourth course (perhaps about .75mm), the third and fourth the same size as the third course (about .60mm), the fifth and sixth the same size as the second course (about .50mm) and the rest the same size as the trebles (about .40mm).

これは、Varietie of lute lessons(1610)の文章説明の次ページの図から、countra tenor = 4コース、great meane = 3コース、small meane = 2コース、treble = 1コースであることが分かるので、そのように言えることになります。


全体に細いゲージなので、それだけアクションも低く設定され、弾き易い楽器になるでしょう。ちなみに、この記事では、John Dowland (1610)とありますが、Robart Dowland (1610)の間違いです。

2次資料、3次資料からは確証が得られず、分からないことがあったりします。原典に接するとより広い知見が得られる可能性があるでしょう。時間的余裕があればですが。

2020年11月29日日曜日

LA GUITARE DU ROI - XAVIER DIAZ-LATORRE

Saturday 28th November
12am ET (New York) UTC/GMT-05:00
Concert of theorbo and guitar. French music from the Royal court of Versailles.

コロナ禍でのリアル・コンサートが難しい状況の中、このような充実した内容のオンライン・コンサートは本当にありがたいでですね。プログラムは4年前のブカレスト古楽祭のものと同じ内容です。XAVIER DIAZ-LATORRE氏に感謝です。
オンライン・コンサートですが、Youtubeにも保存されていますので、何時でも鑑賞することができます。

2020年11月16日月曜日

Giacomo Carissimi, Luigi Rossi

 久しぶりに Gallica を訪ねてみたら、9月に公開された楽譜がありました。

20 cantates pour voix seule et basse continue / Giacomo Carissimi, Luigi Rossi

Date de mise en ligne : 13/09/2020



2020年11月10日火曜日

Manuscrit, Vaudry de Saizenay (2)

 Manuscrit, Vaudry de Saizenay は、MINKOFFの倒産のためリプリントを購入できなくなりました。

2010年当時、パリ大学に留学中の息子に、大学かどこかの図書館でコピーが取れるものならと頼みました。結果、パリの国立図書館BNFにてMINKOFFのリプリントをコピーさせてくれたのでした。

実は、このリプリントはわざわざブザンソン図書館から取り寄せたものようで、コピー代の領収証も、添え書きの絵葉書もブサンゾン図書館のものです。パリのどの図書館にもリプリントがなかったのでしょう。


130ページくらいコピーが進んだところで、コピーを続けると本を傷めるし、コピー代がバカにならないし....。

丁度、この時、BesançonからCD-ROMを購入できると聞きつけ、コピーするのはここで止め、早速CD-ROM(エクセルの目次付き)を購入する手配をしたのでした。


現在はホームページから無料でダウンロードできますが、残念ながら画質がよくありません。



2020年11月8日日曜日

Manuscrit, Vaudry de Saizenay

ファクシミリのクリーニングのために専用のソフトウェアを開発してきました。

これまで、Saizenayに対しては試験的に適用しただけでした。というのも、Saizenayは保存状態がよく、汚れやシミ、破れ等がなく、そのままでも問題なく使えるページが殆どだったからです。

つい最近、裏抜けのために読み難いページがあることに気づいたので、これを機会に、全ページをクリーニングしました。元データはブサンゾン図書館から購入したCD-ROMに収録されている画像です。(今はホームページから無料ダウンロードできますが、画質が悪いです。)

[Pièces de luth et de théorbe] manuscrit, copie de Vaudry de Saizenay. 1699

227ページを例に、クリーニングの効果を確認します。オリジナルでは裏抜けが強く見苦しいですが、ノイズフィルタによって気にならない位に低減され、さらに、コントラストも強調したので見易くなっています。

残念ながら、スマホのような小さな画面では区別は困難かも知れません。


1) Original from Besançon

2) Noise suppressed & Contrast extended

3) Augmented Binarization



2020年11月5日木曜日

GASPAR SANZ ET LA GUITARE ESPAÑOLA ; MANUEL MORAIS

 本棚の隅にしまってあった資料を見ていたら、マニュエル・モライシュ氏によるバロック・ギターの記事が残されているのを発見しました。しかし、切り抜きがあるのは「その1」だけで、後半の「その2」がありません。この頃は現代ギターは定期購読していたはずなのに。

また、当時はバロック・ギターは持っておらず、ここに書かれている内容は何も理解していなかったと思います。

ちなみに、著者のマニュエル・モライシュ氏はLeunam Siaromが本名で、Manuel Moraisはアナグラム名だということを、バーゼル時代の同級生だった佐藤豊彦先生から伺いました。




2020年10月20日火曜日

断捨離

この10~20年使っておらず、これから先も読むことはない本。

本棚を無駄に占有しているだけなので、廃品回収に出すことにしました。

収益は福祉施設に。

廃品回収に出します。

こちらは永久保存版。


2020年10月13日火曜日

バロックギターのビリつき

 この2~3カ月、バロックギターの1コース開放弦がビリつきます。どれかフレットを押さえているとビリつきません。弦が第1フレットに触れているのかと思い、フレットをナットの下までずらして、決して弦が触れないようにしてもビリつきます。

もしかしてと思い、表面板に手で触れてみるとビリつきは収まりました。製作家に相談したら、やはり、バーの端部の接着が剥がれてきているとのことです。修理はどのような内容になるか説明してくれました。表面板の一部を剥がして隙間から膠を塗る作業になるようです。

とは言え、イタリアに送るとイタリアに送ると輸送費の方が高くつくので、国内で修理先を探しているところです。

ちなみに、天気の良い乾燥した日には問題は起こらず、雨または曇りの湿度の高い日に起こります。これはよくあることだそうです。


表面板を触るとビリつかない