2020年9月6日日曜日

The Baroque Musician's Book of Grounds

 これだけ沢山の grounds (Bass Lines) をまとめたものは珍しいのではないでしょうか?

同じgroundでもいくつかの調で練習できるように作られています。

The Baroque Musician's Book of Grounds


2020年8月23日日曜日

Wayne Cripps

LSAのlute mail listの管理人Wayne Cripps氏が定年を迎えられるそうです。永い間、ご苦労様でした。彼の功績には感謝以外にありません。
それに伴って、彼が20年以上に渡って管理してきた以下のサイトは閉じられることになるようです。

lute mail list, lute web page, lute tablature page, Lutes For Sale

追記:
Wayne氏のコンテンツはLSA公式という訳でなく、LSAが認知していたコンテンツというのが正しいようです。
一連のコンテンツはLSAが引き継ぐ方向で検討すると、会長のNancy氏が見解を出しました。

2020年8月16日日曜日

Julian Bream

ジュリアン・ブリームの訃報、既に伝わっている通りです。

BBC : Julian Bream: Classical guitarist dies aged 87

NewYork Times : Julian Bream, Maestro of Guitar and Lute, Dies at 87

The Guardian : Julian Bream obituary

学生の頃、「バッハのリュート組曲」に初めて触れたLPです。何度も何度も聴き返したものでした。自分も弾いてみたいと果敢に挑戦しましたが...。身の程知らずでした。



2020年8月12日水曜日

Cabinet der Lauten

 Le Sage de Richée, Philipp Franz
Cabinet der Lauten : in welchem zu finden 12. neue Partien. 1695.
ウイーンとクラクフの図書館に所蔵されています。
(A-Wn) Österreichische Nationalbibliothek, Musiksammlung, Wien
(PL-Kj) Biblioteka Jagiellońska, Kraków

どちらもコントラストは高く読み取りやすいです。
ウイーンのものは、紙のテキスタイルによるノイズと、表面に付着した薄い汚れによるノイズがある程度です。クラクフのものは保存状態によるのか、使っていた時の扱いが良くなかったのか、黒ずんでいてムラが目立ちます。
どちらも片面にしか印刷していないので、裏抜けによるノイズの影響は受けません。

今回は、ウイーンのものをクリーニングしてみました。
1) Original (A-Wn)
Original

2) Noise suppressed & Contrast extended
  背景のノイズを抑圧し、コントラストを補正して読み易くしています。
Noise suppressed & Contrast extended

3) Augmented Binarization
  グレー化・高コントラスト化して読み易くしています。
Augmented Binarization

この作品を知るきかっけとなったのがこのCD。自分も弾いてみたいと思い、情報収集済みのファクシミリを確認したのでした。



2020年8月6日木曜日

Avertissement : Pieces de theorbe et de lute mise en partition dessus et basse

佐藤豊彦著 バロック リュート教則本 No.49. 及び 49A.
ヴィゼーの「(拍子のない)前奏曲」“Prélude (non mesuré)"の項にて、

『彼は1716年に出版された本 Pieces de theorbe et de lute mise en partition dessus et basse の中で「タブラチュアに移し換えることができない人は、私の所へ習いに来なさい。」と書いています。』

と解説されています。

ということで、原文にあたってみました。以下が該当するセンテンスです。

Avertissement (ご留意) の後半

Plusieurs auteurs auroient peutêtre souhaite' que j'eusse nus une troisieme portee sous la partition, ou la piece eut été gravée en tablature : mais le nombre de ceux qui entendent la tablature est si petit que j'ai cru ne devoir pas grossir mon livre inutilement; d'ailleurs on me trouvera toujours dispôsé a les donner de cette maniere a ceux qui les désireront.

私のぎこちない訳文は、

『何人かの諸兄はスコアの3段目に作品のタブラチュアを記すことを望まれたかも知れません。しかし、曲集を不必要に分厚くすることはないと考えざるを得ないほどに、タブラチュアがお分かりになる方は非常に少ないのです。
ということで、希望される方には、私はいつでもその(タブラチュアの)方法をお教えする用意をしております。』

(もっと適訳があるだろうにと思いながら...)


2020年7月28日火曜日

1日に2回

今朝、部屋に来ると、5コースが切れていた。夜中に切れたのだろう。で、交換。

昨夜、5コースが切れた

夕方、PCに向かっているとき、「プツっ」という音。2コースが切れた。派手な音はしないようで。あっ、2コースのスペアがない!

夕方、プツっという音がして2コースが切れた

2020年7月23日木曜日

Amore La Sol Mi Fa Remirare

Nadia Caristi (soprano)
Massimo Marchese (liuto)

昨年のコンサートでは、澄み切って安定感のあるナディアの歌声には没頭してしまいました。今年の4月にアメリカのレーベルから新しいアルバムがリリースされました。コンサートにはなかった新しい曲が沢山含まれています。聴いていると何だか落ち着きます。



MARCHESE RENAISSANCE TRIO in OBU, 2019.06.24 にて

2020年7月12日日曜日

弦が切れる瞬間

いつもリュートをケースに入れて保管している人は、ある時、ケースを開けたら弦が切れていたというのはよくくあることです。
最近は、ケースに入れず壁に掛けているので、切れる瞬間には立ち会えると期待していましたが、残念ながらその瞬間は部屋にいないことが多く...。
本日、やっと立ち会えました。切れる瞬間は派手な音がするのかと思いきや、「パチッ!」ではなく「プツッ」でした。
バロックギターの第2コース、2フレット目付近がケバ立ってきていたので替え時と思っていたところでした。

第2コースの1本が

壁掛けは便利です

2020年7月4日土曜日

Summer course with Andrew Lawrence-King

講習会の数々がコロナ禍で中止を余儀なくされていましたが、今月、Andrew Lawrence-Kingの古楽セミナーがエストニアのHiiumaa島で開催されることに。
ところで、ストラディバリウスはハープも作っていたのですね。1681年製だそうです。



バロック期のフランス語を読むための辞書

Dictionnaire de l’Académie François. 1694

“Luth”の項:
冒頭でリュートは「弦を弾いて演奏する楽器のひとつ」と説明するも、以降はリュートについて話すときに出てきそうな用語が羅列されていて、それらは何なのかは全く説明されていない。
「純化主義」により多くの語が排除されたそうだが、そうだとして、このような空虚な語の羅列は何なのだろう。知らない人には何を言っているのかわからないでしょう。
1762年版では綴り字が「改善」されてきてはいるものの、記述内容に変更はない。

Dictionnaire de l’Académie François. 1694


Dictionnaire Universel Francois Et Latin, Vulgairement Appele Dictionnaire de Trevoux. 1771
(Furetiere, Dictionnaire universel. 1690 を受け継いで進化させた辞書)

“Luth”の項:
リュートとはどんなものか説明している。時代と共に弦の数が増えたこと、ボディ、ボウル、ペグボックス、ネックなど各部の呼称や材料・構造、ガット弦が張られることや調弦についても触れている。ブローニュのリュートは良い材料を使いその音色も美しいと書かれ、価格まで記述されている。

Dictionnaire Universel Francois Et Latin, Vulgairement Appele Dictionnaire de Trevoux. 1771

幾つかのフランス語史に関する書籍や解説によると、Académieの辞書は偏狭な理想主義により、古語や新語、俗語、専門用語、写実的な言葉などが排除され、豊かさや多様性への配慮がない。
一方、Trevouxの辞書では、技術的・専門的な語彙も扱い、デカルトやメルセンヌらの自然学の理論家のフランス語の文章も用例としている。

ということから、その時代に書かれた文芸作品を読み解くにはTrevouxの辞書が有用であることは間違いはなさそう。