2008年12月13日土曜日

ジャーマンテオルボの回生

バロックリュートは最近はPaolo Bsato作を使っています。
ノーマルなリュートの方がやはり使い易いですね(周りにぶつけるリスクが少なく気楽です)。ということで、大きなジャーマンテオルボは使わなくなりました。
そこで、"ジャーマン"を取って13コースの"テオルボ"として使うように弦を張替えました。

【チューニング】
Aチューニングとします。
上段はテオルボ、下段はバロックリュートのdマイナーチューニング
1コースから順に、
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14
a e b g d A G F E D C B' A' G'
f' d" a f d A G F E D C B' A' -

両者は高音側の4コースだけが異なり、5コース以下は同じです。
ただし、テオルボでは1,2コースはオクターブ下げます。
また、バロックリュートには存在しなかった14コースは諦めます。

【弦の交換】
まず、複弦をシングルに変更するために、不要となる弦を外していきます。
1コースは外し、4コースと同じ弦を張ります。オクターブ下げますので。
2コースは残します。今回はオクターブ下げないでおきました(下げる理由は弦が切れない対応策と認識しているので) 。
3コースと4コースの1コース側は残します。後は、オクターブ弦を1本づつ弦を外していきます 。

何本か外しているうちに残りの弦の音高が上がってきました。それだけ、複弦の張力によってお辞儀していたネックが起き上がってきたという証拠のようです。
次に、各コースの弦間隔を一様にするため3コース以下のバス弦をブリッジから外して、1コース側の孔に付け替えます。

本当は新品の弦で張替えるのがよいでしょう。経済的な問題と、張替えた結果の効果が期待以下だったら無駄になりますので、今回は、それまで付いていた弦をそのまま流用しました。

【試奏】
シングルで張ったリュートは初体験でしたので、しばらく違和感はありました。
シングルで張ると、音がクリアになることと、音量を出しやすくなる効果があることを実感しました。
今回は2コースをオクターブ下げなかったので、アブノーマルな響きとなっているのかも知れません。2コースの音が突出して響く(目立つ)ような気がします。どこかで2コースも下げてみようと思います。

なお、ナイジェルノースはシングルで張ることの効果を示しています。
1. 強く弾いても複弦ではあったようなビリつきがない。
2. (弦が減った分だけ)調弦が容易で速くできる。
3. 弦のテンションが全体的に下がるので楽器への負担が減少する。
4. 左手のスラーが容易に効果的にできる。
5. 右手の爪で弾ける(17世紀の奏者はそれを好んだ)。

Nigel North
"Continuo Playing on the Lute, Archlute and Theorbo"
Indiana UniversityPress
http://www.nigelnorth.com/publications.html