脇道に逸れてしまいますが。
ついでながら、BNF Gallicaからいくつかの絵を見繕って適用してみました。
浮世絵はどちらかと言うと、階調の少ない平坦な絵ということもあり、ノイズを取ってあげるだけで鮮明になりますね。製版されたときはもっと鮮やかだったでしょう。
原画とノイズ除去後を比較してみます。
飛鳥山花見(原画) |
飛鳥山花見(ノイズ除去後) |
山谷(原画) |
山谷(ノイズ除去後) |
日本橋雪晴(原画) |
日本橋雪晴(ノイズ除去後) |
日本橋雪中(原画) |
日本橋雪中(ノイズ除去後) |
ファクシミリをクリーニングするために開発したソフトウェアを、Web年賀に用いた浮世絵に適用してみました。
ファクシミリでは基本的に「文字」や「直線」のような細いものが修復の対象ですが、絵画ではさらに「面」が含まれます。
浮世絵に適用してみたら、ノイズを抑圧するだけで輝度ムラと色ムラが低減され、鮮明に見えるようになったのは、ちょっと、うれしいです。
Techniques for cleaning up facsimiles have been applied to the UKIYO-E.
Several technologies and their parameters should be applied depending on the type of noises. In this case, just by removing the noise, uneven brightness and uneven color are suppressed, and the UKIYO-E becomes clearer.
Original from Gallica |
オリジナルは何かに擦れて付着したかのような、または煤けた感じで汚れていますが、ノイズを抑圧するだけで、輝度ムラや色ムラが低減されて鮮明になりました。
PCの大型ディスプレーで見ると違いがはっきり分かります。
Noises Suppressed with preserved signal |
カラー画像は綺麗でも、そのままモノクロ化しただけでは薄暗く見えます。
Monochromnized |
そこで、コントラストを強調しました。
High Contrasted |
さらに、コントラストを強調しました。
暗い部分がつぶれているように見えますが、ファクシミリの文字や線のような対象では、ここまで、または、もっと強調する方が良い結果が得られることがあります。
High Contrasted more |
どれかの画像をクリックすると、マウスやキーボードで画像を切り替えられ、比較が容易になります。
Surface Pro上でpdfにタッチペンで書き込める使いやすいアプリです。表示しているタブラチュアに色々書き込みしています。
しかし、ある日突然、Bluetooth Pedal Page Turner に応答しなくなりました。その直前にアップデートされたセキュリティソフトがブロックしているのか等、色々調べましたが...。
それで、Drawboard(Melbourneに拠点の会社)に問い合わせたら、「コントロールキーを同時に押せば受け付けるように仕様を変更した」との回答が。確かに、コントロールキーを押しながらペダルを踏むとページ送りができている。だが、「それではPedal Page Turnerの存在価値であるハンドフリー機能が使えないのは意味がない。他のアプリ、Adobe ReaderやPowerpoint等では使えている」と伝えたら....、
本日、回答がきました。
「コントロールキーを受け付ける条件から外して元に戻したので、アプリを更新し、期待に沿っているか返事が欲しい。」
問題は解決しました。
2010年10月~12月にアマゾンで購入して以降、本棚に眠ったままの12冊(未使用品)です。全部まとめて欲しいという方がいらっしゃれば、半額以下でお譲りします(日本国内限定)。
現在「現在在庫切れです。」「この本は現在お取り扱いできません。」となっているものが含まれています。
「欲しいと思った時には既に絶版」
買っておいてよかった。買わなかったことを後悔。そのどちらでもない場合も。
A Briefe and Plaine Instruction to Set All Musicke of Eight Diuers Tunes in Tableture for the Lute. All First Written in French by Adrian Le Roy.
The Third and Last Booke of Songs or Aires Newly Composed to Sing to the Lute, Orpharion, or Viols, and a Dialogue for a Base and Meane Lute with Fiue. Dowland, John.
The Second Booke of Songs or Ayres, of 2. 4. and 5. Parts Vvith Tableture for the Lute or Orpherian, with the Violl de Gamba. Composed by lohn Dowland.
A Pilgrimes Solace Vvherein Is Contained Musicall Harmonie of 3. 4. and 5. Parts, to Be Sung and Plaid with the Lute and Viols. by lohn Douland, Bat.....
Songs for the Lute Viol and Voice: Composed by I. Danyel, Batchelar in Musicke. 1606. to Mris Anne Grene (1606)
The Third and Fourth Booke of Ayres: Composed by Thomas Campian. So as They May Be Expressed by One Voyce, with a Violl, Lute, or Orpharion (1617)
Two Bookes of Ayres the First Contayning Diuine and Morall Songs: The Second, Light Conceites of Louers. to Be Sung to the Lute and Viols, in Two, Th.....
The First Booke of Ayres of Foure Parts with Tableture for the Lute: So Made, That All the Parts May Be Plaide Together with the Lute, or One Voyce wil.....
Songs of Mourning Bevvailing the Vntimely Death of Prince Henry. Vvorded by Tho. Campion. and Set Forth to Bee Sung with One Voyce to the Lute, or Vio.....
The Psalmes of Dauid in Meter the Plaine Song Beeing the Common Tunne to Be Sung and Plaide Vpon the Lute, Orpharyon, Citterne or Base Violl. by Richa.....
The First Booke of Songes or Ayres of Fowre Partes with Tableture for the Lute So Made That All the Partes Together, or Either of Them Seuerally May B..... Dowland, John.
Harmonia Sacra or Divine Hymns and Dialogues: With a Through-bass for the Theobro-lute, Bass-viol, Harpsichord or Organ. the First Book. Purcell, Henry.
Denis Gaultier (1603-1672)の2冊の曲集
Pièces de luth de Denis Gaultier, sur trois differens modes nouveaux ....
Livre de tablature des pièces de luth de Mr. Gaultier Sr de Nèüe ....
いづれも Denis Gaultier (1603-1672)による1670年頃の出版ですが、Livre de tablatureの方が後です(緒言から分かります)。また、この表紙には未亡人による出版とあるので、出版時にはGaultierは亡くなっていることが分かります。
この2冊の曲集は、それ以前のGaultierの作品が、国内外で酷く変形され原形が損なわれていることを嘆いたことに由来して世に送り出されています。なので、これらの曲集はGaultierの作品のバイブルとなります。
ただ、必ずしもGaultierの意向を全て漏らさずに表現した曲集とは言い切れません。Gaultierが渡した原稿はその通りだったかも知れませんが、出版業者に彫版を委ねたその先で、誤りが混入してしまったようです。
例:写真の左下のSarabandeは右手の奏法記号に誤りが散見されます。そうとは知らない私は、Gaultierの指示なのだから忠実に従おうとしていたのです。弾き難いと感じるのは私の技量の問題かと。佐藤先生のレッスンの時に指摘されて気付かされました。
さらには、幾つかの曲では装飾記号や運指記号が記されていないものがあります。それらが殆ど書かれていないLa Rhétorique des Dieuxに含まれる曲と比べてみると良く分かります。この2冊の曲集は全体的に装飾記号・運指記号が丁寧に書かれています。しかし、全くと言っていい程に書かれていない曲が含まれるのは不自然です。Gaultierが原稿に書き忘れたとは考え難いです。
全く意味不明なのが、写真の右下のCouranteの最後のaccord des pièces suivantes
様式はバス弦の調弦法の書き方ですが、Gマイナーの曲に対してこれは全く間違っています。
ただ、Livre de tablatureはGaultireの死後の出版なので、Gaultierの原稿が未完だったことも考えられます。
とは言え、これらの曲集がGaultierの作品のバイブルであることには変りありません。
ちなみに、Gaultierが嘆いた様子は、小川先生の紀要に詳しく書かれています。
「17世紀フランス・リュート音楽研究(1) : ドニ・ゴティエの2冊のリュート曲集の緒言をめぐって」 小川 伊作 1989
モダン・タイプ譜は読み易いので広く使われているようです。しかし、ネット上で提供されているものは書き間違いが散見されたり、入力が雑であったりしますので注意が必要です(フリーのものに限りません)。まずは、鵜呑みにしないようにしましょう。
ただし、タブラチュア・エディタのソースファイルが提供されている場合は、すごく重宝します。自分でゼロから打ち込むのは面倒ですが、予め、一通り打ち込んでくれているので、後は、間違いを訂正するだけですみます。さらに、自分の楽器の調律に沿ったポジション変更も反映したタブラチュアが作れます。
例:Gaultier, Livre de Tablature, Pavanne.
この曲は装飾記号と運指記号が数か所間違っていました。以下は1例です。
Gaultier, Ennemond / Gaultier, Denis
Livre de tablature des pièces de luth de Mr Gaultier Sr de Nèüe, et de Mr Gaultier son cousin, sur plusieurs différents modes avec quelques reigles qu'il faut observer pour le bien toucher. Gravé par Richer.
BNF Gallica に公開されているファクシミリをクリーニングしてみました。
Minkoff から出版されたものと同等レベルになっていると思います。
Sample p.42
オリジナルはこんな感じです。くすんでいて、コントラストも弱いです。
Original from Gallica.bnf |
まず、線や文字はそのコントラストを保持しながら、バックグランドのノイズを落とします。そして、モノクロ化。何か、か細い感じがします。
Noise Suppression & Monochromnize |
黒っぽいものはより黒く、白っぽいものはより白くします。メリハリが出てきました。ハーフトーンだった線や文字の境界画素が黒くなるので、少し太くなります。これでも十分使えます。
Contrast Compensation |
譜面台に置いたとき等、離れた位置からでも見やすいように、さらに、線や文字を太めにしました。
Augment lines and characters thickness |
こちらは、Minkoff の該当ページ。
Reference Minkoff |
厚く製本された曲集をカメラで撮影したり、スキャナーでスキャンするとき、本の閉じ代部分が湾曲しているので、得られた画像では直線であるべき水平線が湾曲してしまいます。
この湾曲してしまった部分を元に戻すソフトウェアは市販されていますが、変形のし方が多様なファクシミリ画像には使えないことが多いことは想像がつきますので、自分でプログラムを書いてみました。
DufaultのPaduana (Rostock)は、左側1/6程度だけが変形しています。しかも、上部はほとんど変形しておらず、下方ほど大きく変形しています。これでは、既知の定型的な手法はそのまま使えません。
Original |
2次関数を使って工夫を加えた補正式を考えてみました。もっと高次の関数が必要かとは思いましたが、全体が元々揺らいている直線なので、完全な直線にしてしまうと逆に違和感が出てきます。これでも良いのではと考えました。
まず、そのまま単純に補正式を適用した場合、ジャギーと呼ばれるギザギザが現れて汚くなります。
Quadratic function : simple |
同じ補正式でも、バイリニア補間でやってみると、綺麗になります。
Quadratic function : with bi-linear method |
画像全体に渡って一様に変形してしまっているときは既知の初歩的な手法で補正できます。
例:斜めから撮影した画像を、あたかも、真上から撮影したかのように見える画像に変換できます。
Elementary method |
私は可能な限りタブラチュアはファクシミリを使います。
保存状態がよく高品位なものは、そのまま使っています。Saizenayはその代表。ファクシミリの中には低品位なものもあって、その種類は色々ですが、背景のノイズを低減する方法を幾つかの曲集に適用したものは過去に紹介しました。
今回は、擦れて部分的に線が欠落した横線の復元。数本~数10本なら手作業で賄えますが、それ以上となると、とてもお付き合いできません。
かねてから構想していたアイデアをもとにプログラムを書き、やっとプロトモデルが出来上がりました。Baronの2重奏のファクシミリに適用してみました。この曲は師匠の手書きのタブラチュアを頂いているので、修復・復元は必要なく、評価用サンプルとして使ってみたまでです。
少し改良しました。
Before |
After |