2008年7月10日木曜日

フレットガット

よく、「フレットガットは3種類くらいのゲージで済ませてしまいます。」という人がいます。それができるのはブリッジの高さに余裕があるリュートの場合でしょう。

私のルネッサンスリュート(Paolo Busato 作)はブリッジの高さをギリギリに低く作られているので、そのような、ガサツなフレットの張り方ではビリついてしまいます。

そこで、ブリッジの高さが低く作られたリュートの場合は、フレットガットのゲージを1フレットから順に段階的に細くしていく必要があります。この方法は、"Historical Lute Construction"(Robert Lundberg著)229ページに詳しく解説されています。

この場合、フレットガットのゲージは厳しく管理する必要があるようで、設計上で指定されたゲージが入手できなかったので(できるとも限らないので)、それに近いゲージを巻くようにしているのですが、ビリついてしまうことがあります(弦の不良振動が原因のこともよくあります)。

そこで、あるアイデアを試したのですが、これは効果がありました。ビリつくフレットに紙片を挟むのです。プリンタ用紙(コピー用紙)を使います。紙1枚が丁度良く、2枚にすると高くなり過ぎて、ひとつ下のフレットでビリつくようになります。

確かに効果はあるのですが、しかし、見た目がよくないという欠点があります。

また、たまたま、ビリついたのが5フレットと7フレットなので、フレットマークとして兼用できて都合がよいのですが、それ以外のフレットでビリついた場合は、別の場所にフレットマークがつくことになり混乱の原因を作ってしまいます。

写真では必要以上の面積の紙片を挟んでいますが、もっと細い紙片でも役割を果たすので何とかなるでしょう。 紙を黒く塗ってしまえば分かりません。