2022年2月13日日曜日

Gigue, Losy (Rostock)

Rostock Ms Mus Saec XVII.18-52-2

Tree Edition 版から Gigue

Tree Edition 版はとても綺麗とは言えないですね。 Universitätsbibliothek Rostockで公開されていないか調べてみましたが、見つけられませんでした。 

それで、やむなく、Tree Edition 版をクリーニングしてみました。まだ、改良の余地は十分にあります。 

左:Tree Edition 版   右:クリーニング版


【改良版】
ノイズフィルタの種類を変えてみました。水平線部に目立っていた「擦れ」感が大幅に解消されました。

Losy, Gigue 1

Losy, Gigue 2




2022年2月4日金曜日

BWV 1000 FUGA (3)

 Becker III.11.4 にはスコアも含まれていたので、ついでにクリーニングしました。

 

 

 





 

BWV 1000 FUGA (2)

 Weyrauch の Lute Tablature  (Becker III.11.4)

パラメータ・チューニングを追い込めば、クリーニング後の画像はもっと綺麗になりますが、出版する訳ではないので今回はこの程度に留めました。

なお、あくまで、ノイズ除去とコントラスト補正の範囲内での処理とし、擦れた線の復元などの加筆処理はしませんでした。

 

 

 

 

2022年1月25日火曜日

BWV 1000 FUGA

幾つかのエディションが出ています。色々な変更が加えられています。それらを見る前に、元となっているWeyrauchのタブラチュアは一通り見ておきたいです。

手元にTree Edition版があります。文字の部分はクッキリしているので読めなくはないですが、背景がザラついていて少し読みづらいですね。MINKOFF.や.S.P.E.S.のようなクリーニングは全くされていません。(そうと分かってからは、Tree Editionのファクシミリ版は買わなくなりました。)

現代ギター別冊の「バッハ・リュート作品の全て」は解像度が低く、しかも、ボケた感じです。

現在、Tree Edition版はpdfが無料で入手できますので、そこから画像を抜き出して、クリーニングをかけてみました。背景のノイズが落ちてコントラストも改善されました。でも、元の品質がよくないので、結果もそれなりにというところ。擦れた線を修復する方法はなくはありませんが。

 

Tree Edition - Before   










Tree Edition - After


 次に、高解像度のオリジナル画像がライプツィッヒの図書館から入手できますので、これをクリーニングしてみました。こちらの方が絶対に綺麗です。
(D-LEm) Leipziger Stadtbibliothek - Musikbibliothek, Leipzig
Weyrauch, Johann Christian

 

Becker III.11.4 - Before

 

Becker III.11.4 - After


 


2022年1月10日月曜日

Cleaning Technology for Facsimiles (2)

脇道に逸れてしまいますが。

ついでながら、BNF Gallicaからいくつかの絵を見繕って適用してみました。
浮世絵はどちらかと言うと、階調の少ない平坦な絵ということもあり、ノイズを取ってあげるだけで鮮明になりますね。製版されたときはもっと鮮やかだったでしょう。

原画とノイズ除去後を比較してみます。

飛鳥山花見(原画)

飛鳥山花見(ノイズ除去後)

山谷(原画)

山谷ノイズ除去後

日本橋雪晴(原画)

日本橋雪晴ノイズ除去後

日本橋雪中(原画)

日本橋雪中ノイズ除去後

 

2022年1月5日水曜日

Cleaning Technology for Facsimiles

ファクシミリをクリーニングするために開発したソフトウェアを、Web年賀に用いた浮世絵に適用してみました。

ファクシミリでは基本的に「文字」や「直線」のような細いものが修復の対象ですが、絵画ではさらに「面」が含まれます。

浮世絵に適用してみたら、ノイズを抑圧するだけで輝度ムラと色ムラが低減され、鮮明に見えるようになったのは、ちょっと、うれしいです。

Techniques for cleaning up facsimiles have been applied to the UKIYO-E.

Several technologies and their parameters should be applied depending on the type of noises.  In this case, just by removing the noise, uneven brightness and uneven color are suppressed, and the UKIYO-E becomes clearer.


この広重の浮世絵はフランス国立図書館蔵

Original from Gallica


オリジナルは何かに擦れて付着したかのような、または煤けた感じで汚れていますが、ノイズを抑圧するだけで、輝度ムラや色ムラが低減されて鮮明になりました。

PCの大型ディスプレーで見ると違いがはっきり分かります。

Noises Suppressed with preserved signal


カラー画像は綺麗でも、そのままモノクロ化しただけでは薄暗く見えます。

Monochromnized


そこで、コントラストを強調しました。

High Contrasted

さらに、コントラストを強調しました。

暗い部分がつぶれているように見えますが、ファクシミリの文字や線のような対象では、ここまで、または、もっと強調する方が良い結果が得られることがあります。

High Contrasted more

どれかの画像をクリックすると、マウスやキーボードで画像を切り替えられ、比較が容易になります。


2021年12月23日木曜日

Drawboard PDF

Surface Pro上でpdfにタッチペンで書き込める使いやすいアプリです。表示しているタブラチュアに色々書き込みしています。

しかし、ある日突然、Bluetooth Pedal Page Turner に応答しなくなりました。その直前にアップデートされたセキュリティソフトがブロックしているのか等、色々調べましたが...。

それで、Drawboard(Melbourneに拠点の会社)に問い合わせたら、「コントロールキーを同時に押せば受け付けるように仕様を変更した」との回答が。確かに、コントロールキーを押しながらペダルを踏むとページ送りができている。だが、「それではPedal Page Turnerの存在価値であるハンドフリー機能が使えないのは意味がない。他のアプリ、Adobe ReaderやPowerpoint等では使えている」と伝えたら....、

本日、回答がきました。

「コントロールキーを受け付ける条件から外して元に戻したので、アプリを更新し、期待に沿っているか返事が欲しい。」

問題は解決しました。




2021年11月26日金曜日

EEBOの出版物

 2010年10月~12月にアマゾンで購入して以降、本棚に眠ったままの12冊(未使用品)です。全部まとめて欲しいという方がいらっしゃれば、半額以下でお譲りします(日本国内限定)。
現在「現在在庫切れです。」「この本は現在お取り扱いできません。」となっているものが含まれています。

「欲しいと思った時には既に絶版」
買っておいてよかった。買わなかったことを後悔。そのどちらでもない場合も。


A Briefe and Plaine Instruction to Set All Musicke of Eight Diuers Tunes in Tableture for the Lute. All First Written in French by Adrian Le Roy.

The Third and Last Booke of Songs or Aires Newly Composed to Sing to the Lute, Orpharion, or Viols, and a Dialogue for a Base and Meane Lute with Fiue. Dowland, John.

The Second Booke of Songs or Ayres, of 2. 4. and 5. Parts Vvith Tableture for the Lute or Orpherian, with the Violl de Gamba. Composed by lohn Dowland.

A Pilgrimes Solace Vvherein Is Contained Musicall Harmonie of 3. 4. and 5. Parts, to Be Sung and Plaid with the Lute and Viols. by lohn Douland, Bat.....

Songs for the Lute Viol and Voice: Composed by I. Danyel, Batchelar in Musicke. 1606. to Mris Anne Grene (1606)

The Third and Fourth Booke of Ayres: Composed by Thomas Campian. So as They May Be Expressed by One Voyce, with a Violl, Lute, or Orpharion (1617)

Two Bookes of Ayres the First Contayning Diuine and Morall Songs: The Second, Light Conceites of Louers. to Be Sung to the Lute and Viols, in Two, Th.....

The First Booke of Ayres of Foure Parts with Tableture for the Lute: So Made, That All the Parts May Be Plaide Together with the Lute, or One Voyce wil.....

Songs of Mourning Bevvailing the Vntimely Death of Prince Henry. Vvorded by Tho. Campion. and Set Forth to Bee Sung with One Voyce to the Lute, or Vio.....

The Psalmes of Dauid in Meter the Plaine Song Beeing the Common Tunne to Be Sung and Plaide Vpon the Lute, Orpharyon, Citterne or Base Violl. by Richa.....

The First Booke of Songes or Ayres of Fowre Partes with Tableture for the Lute So Made That All the Partes Together, or Either of Them Seuerally May B..... Dowland, John.

Harmonia Sacra or Divine Hymns and Dialogues: With a Through-bass for the Theobro-lute, Bass-viol, Harpsichord or Organ. the First Book. Purcell, Henry.

2021年11月24日水曜日

Denis Gaultier の2冊の曲集

 Denis Gaultier (1603-1672)の2冊の曲集

Pièces de luth de Denis Gaultier, sur trois differens modes nouveaux ....

Livre de tablature des pièces de luth de Mr. Gaultier Sr de Nèüe ....

いづれも Denis Gaultier (1603-1672)による1670年頃の出版ですが、Livre de tablatureの方が後です(緒言から分かります)。また、この表紙には未亡人による出版とあるので、出版時にはGaultierは亡くなっていることが分かります。

この2冊の曲集は、それ以前のGaultierの作品が、国内外で酷く変形され原形が損なわれていることを嘆いたことに由来して世に送り出されています。なので、これらの曲集はGaultierの作品のバイブルとなります。

ただ、必ずしもGaultierの意向を全て漏らさずに表現した曲集とは言い切れません。Gaultierが渡した原稿はその通りだったかも知れませんが、出版業者に彫版を委ねたその先で、誤りが混入してしまったようです。

例:写真の左下のSarabandeは右手の奏法記号に誤りが散見されます。そうとは知らない私は、Gaultierの指示なのだから忠実に従おうとしていたのです。弾き難いと感じるのは私の技量の問題かと。佐藤先生のレッスンの時に指摘されて気付かされました。


さらには、幾つかの曲では装飾記号や運指記号が記されていないものがあります。それらが殆ど書かれていないLa Rhétorique des Dieuxに含まれる曲と比べてみると良く分かります。この2冊の曲集は全体的に装飾記号・運指記号が丁寧に書かれています。しかし、全くと言っていい程に書かれていない曲が含まれるのは不自然です。Gaultierが原稿に書き忘れたとは考え難いです。

全く意味不明なのが、写真の右下のCouranteの最後のaccord des pièces suivantes
様式はバス弦の調弦法の書き方ですが、Gマイナーの曲に対してこれは全く間違っています。

ただ、Livre de tablatureはGaultireの死後の出版なので、Gaultierの原稿が未完だったことも考えられます。

とは言え、これらの曲集がGaultierの作品のバイブルであることには変りありません。

ちなみに、Gaultierが嘆いた様子は、小川先生の紀要に詳しく書かれています。

「17世紀フランス・リュート音楽研究(1) : ドニ・ゴティエの2冊のリュート曲集の緒言をめぐって」 小川 伊作 1989