2016年1月14日木曜日

バイオリンの表面版に使われた木の伐採年

愛知県立芸術大学でのセミナー「ヴァイオリンなどの弦楽器や文化財の年輪年代測定について」を聴講してきました。講師は奈良の国立文化財機構研究所の大河内さん。
年輪からはその木が生えてから伐採されるまでの年齢しか分からず、何故絶対年まで分かるのか不思議に思っていました。大河内さんの分かりやすい説明のおかげで分かった気がします。
ある地域の気候を観測してみると、冬季の気温は必ずしも一定間隔でなく、何10年?かに一度程度の寒波による大きな変動がある。年輪の間隔が一定でないのはそのため。そのパターンをデータベース化されている基準データと照合すれば絶対年が分かるというものです。
ではその基準データはどう作るか?それは現在生きている木の年輪データから出発し、それより昔に伐採した木の年輪のパターンが一致する部分をつなぎ合わせ、それを繰り返していけば何100年分が一続きになった基準データが作れる。
この手法を使って、バイオリンの表面版がどの地域で何時伐採されたものかが特定できると聞いて、なるほど!と思いました。大河内さんはこの研究で多くのバイオリンに接したことで得た知識から、古物商にあった鈴木政吉の手製のバイオリンを発見し手に入れたそうです。